柿渋染めのこだわり

皆さんは渋柿をかじったことがおありですか。あの舌をしぼるような渋みは、実の中にタンニン(主成分はシブオール)が水に溶ける状態で散らばっているからです。どの柿にもタンニンは入っていますが、甘柿のタンニンは粒上に固まって水に溶けない状態になっているため渋みを感じないのです。これからお話しする「柿渋」はそのタンニンが主役です。

「柿渋」をご存じですか

柿渋の製造過程1 収穫された柿渋 柿渋の製造過程2 洗浄→圧搾 柿渋の製造過程3 圧搾作業 柿渋の製造過程4 絞りでた果汁「柿渋」という言葉自体、聞き慣れない方もおられるのではないでしょうか。これは夏に柿の未熟果を採取し、砕いてすり潰した果汁を絞り、それを1年以上貯蔵して発酵させた褐色の液体です。これには大量のタンニンと有機酸(酢酸や酪酸他)などの不純物が含まれ、強い異臭を放ちます。一般には長く貯蔵したものほど良いとされています。《ただし、管理の悪い状態ですと、ゼリー状に固まって使えなくなってしまいます。》

柿渋の成分と性質

これをそのまま利用するのが普通なのですが、近年は精製して有機酸などの不純物を除き、それによって異臭も除くことができるので、そのような精製無臭品が一般的になってきました。もっともそのままでも加工後数週間で臭いもなくなっていきますが。柿渋の目的とする成分はあくまでタンニンなので、精製しても染色には問題はないのです。

タンニンというのはお茶の成分としてもよく耳にされるのではないかと思いますが、お茶のタンニンという場合はカテキンを主に指します。また近年一般化したポリフェノールという言葉がありますが、タンニンも一種のポリフェノールなのです。つまり、ポリフェノールという言葉はかなり広い範囲の物質を意味し、その中にタンニンがあり、またその一種としてカテキンがあるという関係です。

タンニンそのものにも多くの種類がありますが、歴史的には「皮をなめすもの」という広いくくりの物質の総称と言えます。ちなみに柿渋のタンニンは縮合型と言われるタイプのものです。

現在は牛革などの加工はクロムなめしという方法が主流になっていますが、タンニンなめしの皮革は高級な素材に今も愛用されています。飴色に味わい深く変化していくものはタンニンなめしによるものです。もっともここで使用されるタンニンは加水分解型と言われるもので、柿渋のタンニンとはタイプが異なります。柿渋の製造過程5 果汁のろ過

柿渋の用途

元来柿渋そのものは日本においても古くから利用されていましたが、それは柿渋の持つ数々の効用をその目的とすることが多かったのです。例えばその撥水性から、番傘や漁網、などや、耐久性に優れることから柳行李やうちわ、紙衣など和紙製品、また建材への塗布、あるいは高血圧の薬として服用したり、火傷やしもやけを治す為に皮膚に塗ったりされることもありました。

柿渋の製造過程6 熟成貯蔵タンク内 柿渋の製造過程7 発酵熟成した柿渋液衣類としては平安時代に柿衣として利用されていたようです。中でも最近注目されているのは、アトピーなどのシックハウスと呼ばれる化学物質による弊害をおこさない多機能な塗料としての柿渋です。

ホルムアルデヒドを吸着する性質も認められて内装に使用されるのはもとより、外装や基礎部分にも塗られるケースが増えています。さらには柿渋による金属メッキまで研究されるほど、身体に優しい性質が認識されるようになってきました。

最近では加齢臭を防ぐ石けんにも柿渋が主成分として利用されています。また型友禅に使われる「伊勢型紙」型紙製作にも、なくてはならないものです。

愛好者の多い酒袋も、清酒を絞る際に使う布の強度を増す為に柿渋を何度も塗って使用した結果できあがったものです。その他にも防腐効果や抗菌効果、防虫効果などさまざまな効能を持っている不思議な物質です。

現在最も大きな用途は、清酒の清澄剤として濁りを取り除くことですが、近年の傾向としては染色用に供されることが急速に増えてきたということです。それには実は当社の柿渋染めの加工が、その一端を担っているようなのです。

「柿渋染め」はワインのようなもの

柿渋は天然のものなので、化学製品のような品質管理は難しいものなのです。原料からして、その年の柿の出来具合によって色合いや濃さが微妙に変わってきますし、管理方法や染める季節、天候によっても大きな変化があります。まるでワインのようですね。当社の経験では梅雨の頃が最も良い色の染めができています。

柿渋染めの布を太陽にさらしておくと、夏なら短時間で濃い色に変化していきます。ここから「太陽の染め」という呼び方も出てきたのでしょうね。また光の当たらない暗室状態で保管しておくと時間を経るごとに濃い素敵な色に変わって驚かされることがあります。

*私の一言《最高の柿渋染め生地に仕上げるには数年掛けてこの技法で完成させた逸品》

また熱を加えても濃くなりますし、濡れた鉄さびにふれると黒く変色します。レモンなど酸性の強いものがかかっても色が変わってしまいます。まさに柿渋染めは生き物です。

「きき」のこだわり

当社の「自然色の帆布」の製品作りに主に柿渋染めの布を使用しています。それは、一般的な染色と違って柿という天然のものだけを使って染めることができ、さらにそれが私たち日本人に暖かさや親しみを感じさせる味わいをもっているからです。しかし残念なことに市場には化学色素を使った製品が多く見られ、本来の柿渋の色目、質感に誤解を与えているケースがあります。

さて、私たちは従来から一切混ぜものをしない柿渋のみで染色しているのですが、より良い逸品の柿渋染めを目指して、最高の品質を誇る「天王柿」を原料とする柿渋の使用を始めました。

もともと柿渋はタンニン成分の多い「鶴の子」や「法蓮坊」などの柿を使って製造されるのですが、その中でも柿渋作りにだけ使用される、最もタンニン成分の多いのが「天王柿」です。「天王柿」はその品質にも拘わらず、柿渋自体が昔に比べ使用量が減ってしまったため、栽培自体が極端に少なくなり、染料製造に使用する量の確保が非常に難しくなっているのが現状です。ですから一般には日本各地からタンニンの含有量の多い柿で、量の確保が容易な種類を移入して製造をしているのです。

そこで当社は柿渋専業メーカーである京都山城の『岩本亀太郎商店』の協力を得て、できる限りの量を確保できるよう努めています。それによって最高品質の柿渋染めを実現しているものと自負しています。

また手描きには玉渋と呼ばれる5、6年《熟成》ものの貴重な柿渋を使用しています。若い柿渋にはない深い色合いと漆のような光沢を味わっていただけます。

全文著/有限会社 山宗染工 代表取締役 山本宗雄

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